海外旅行の楽しみの一つに、現地のカフェで過ごす時間があります。しかし、いざ注文しようとすると「英語でなんて言えばいいんだろう?」と不安に感じてしまうこともあるかもしれません。簡単なフレーズを知っているだけで、その不安は自信に変わる可能性があります。
この記事では、英語で「コーヒーをください」と伝えるための基本的な表現から、丁寧さの度合いに応じた使い分け、さらにはカフェでの注文をスムーズにするための応用フレーズまで、網羅的に解説していきます。この記事を読み終える頃には、どんなカフェでも自信を持って、自分好みのコーヒーを注文できるようになっているかもしれません。
英語で「コーヒーをください」と伝える基本表現と丁寧さの使い分け
英語でコーヒーを注文する際、いくつかの基本的な言い方があります。しかし、それぞれのフレーズには丁寧さやニュアンスに微妙な違いが存在します。これらの違いを理解することで、友人とのカジュアルな会話から、フォーマルなレストランでの注文まで、状況に応じた最適な表現を選ぶことができるようになるでしょう。
実は、学校で習うような「丁寧さの序列」が、実際のカフェの現場では少し異なる形で機能していることがあります。例えば、最も丁寧とされる表現が、かえって堅苦しく聞こえてしまう場面もあるのです。ここでは、そうした実践的な観点から、それぞれのフレーズが持つ響きや使われるべき状況を深く掘り下げていきます。
最もシンプルに伝える「A coffee, please.」
最も手軽に「コーヒーをください」と伝える方法の一つが、欲しいものの後に「please」を付ける表現です。例えば、「A coffee, please.」は「コーヒーをお願いします」という意味で、非常にシンプルながら多くの場面で通用します。
この表現は、特にカウンターで手早く注文を済ませたい時や、賑やかなカフェで簡潔に意思を伝えたい場合に効果的です。また、飛行機内で客室乗務員から「Tea or coffee?」と聞かれた際に「Coffee, please.」と答えるなど、選択肢の中から選ぶ場面でも自然に使うことができます。文法的に最も簡単な形ですが、明確に意図が伝わるため、覚えておくと非常に便利なフレーズと言えるでしょう。
日常で最も活躍する「Can I have/get…?」
日常的な英会話、特にカフェでの注文において最も頻繁に使われるのが「Can I have…?」や「Can I get…?」という表現かもしれません。直訳すると「~をもらえますか?」となり、許可を求める形を取ることで、丁寧な依頼のニュアンスが生まれます。
このフレーズは、フレンドリーな接客が一般的な多くのカフェで、店員とお客さんの間の標準的なやり取りとして定着しています。「Can I have a coffee?」のように、友人宅でコーヒーをご馳走になりたい時にも使えるなど、その汎用性は非常に高いです。また、「have」と「get」の間に意味の大きな違いはなく、ほとんどの状況で交換可能とされています。カジュアルでありながら失礼には当たらない、非常にバランスの取れた表現です。
丁寧な印象を与える「Could I have/get…?」
「Can I…?」よりも一段階丁寧な印象を与えたい場合に適しているのが、「Could I have/get…?」です。英語では、助動詞を過去形(Can→Could)にすることで、表現に距離感が生まれ、より丁寧で控えめな響きになるとされています。
このフレーズは、初めて訪れるお店や、少し高級なレストラン、あるいは相手との関係性がまだ築けていない場面で特に役立ちます。どの程度の丁寧さが求められるか分からない状況において、「Could I…?」は間違いのない選択肢となることが多いでしょう。相手への敬意を示しつつも、過度に堅苦しくはならないため、海外旅行者が覚えておくと非常に心強い「安全な」フレーズと言えるかもしれません。
フォーマルな場面で使う「May I have…?」
「May I have…?」は、「~してもよろしいでしょうか?」という意味合いを持つ、非常に丁寧でフォーマルな表現です 1。ビジネスシーンや格式高いホテル、高級レストランなど、明確に丁寧さが求められる状況での使用が考えられます。
ただし、一般的なカフェでこの表現を使うと、少し堅苦しすぎる、あるいは古風に聞こえてしまう可能性も指摘されています。英語学習の過程で「Mayが最も丁寧」と学ぶことが多いですが、その使用は状況を選ぶということを理解しておくことが大切です。相手への敬意を示すための表現が、かえって不自然な印象を与えないよう、場の空気を読むことが求められるかもしれません。
意思を明確に伝える「I’d like…」と「I’ll have…」
これまで紹介した許可を求める形のフレーズとは異なり、自分の意思を直接的に伝える表現もあります。その代表格が「I’d like…」と「I’ll have…」です。
「I’d like…」は「I would like…」の短縮形で、「~が欲しいです」という希望を丁寧に伝える表現です。柔らかく、かつ明確に自分の好みを伝えられるため、非常に使いやすいフレーズです。
一方、「I’ll have…」は「I will have…」の短縮形で、「私は~にします」という意味合いを持ちます。メニューを見ながら今まさに注文を決めた、というような場面でよく使われる傾向があります。どちらも自分の決定を伝える表現ですが、「I’d like…」の方がより丁寧な響きを持つとされています。
丁寧さのレベルを徹底比較:Can・Could・May の違いとは
ここで、「Can I…?」「Could I…?」「May I…?」という許可を求める3つの表現の丁寧さの度合いと使われる状況を整理してみましょう。これらの助動詞は、単なる文法的な違いだけでなく、話し手の相手に対する心理的な距離感をも示唆します。
一般的に、丁寧さは「Can < Could < May」の順に高まるとされています。しかし、前述の通り、この序列は絶対的なものではなく、状況によって最適な表現は変化します。
| フレーズ | 丁寧さのレベル | 主な利用シーン | 例文 |
Can I...? | カジュアル | 友人、家族、同僚との会話。フレンドリーなカフェやレストラン。 | Can I have a coffee? |
Could I...? | 丁寧 | 初対面の人、お店の店員。丁寧さを出したい日常会話全般。 | Could I have a cup of coffee, please? |
May I...? | フォーマル | ビジネスシーン、目上の人、格式高い場所。 | May I get a cup of coffee? |
この表からわかるように、最も重要なのは、自分が置かれている状況と相手との関係性を考慮して、適切な丁寧さのレベルを選ぶことです。一般的なカフェであれば「Can I…?」で十分フレンドリーかつ丁寧ですし、少し気を使う場面であれば「Could I…?」を選べばまず問題ないでしょう。
シーン別・英語で「コーヒーをください」と頼む応用フレーズとカスタマイズ
基本的な注文方法を理解したら、次はより実践的な応用編です。実際のカフェでは、単に「コーヒーをください」と伝えるだけでなく、サイズや温度の指定、さらにはミルクの変更やシロップの追加といった細かいカスタマイズが伴います。
海外のカフェでは、注文が一つの「会話の儀式」となっていることが少なくありません。店員からの挨拶に始まり、注文内容の確認、支払い、そして商品の受け取りまで、一連の短い対話が続きます。この流れを事前に知っておくことで、落ち着いてスムーズなやり取りが可能になるでしょう。ここでは、具体的なシーンを想定しながら、すぐに使える応用フレーズを詳しく見ていきます。
カフェでの注文を完全シミュレーション!入店から受け取りまでの会話の流れ
海外のカフェでの注文は、一連の決まった流れに沿って進むことが多いです。この流れを頭に入れておくと、次に何を聞かれるか予測できるため、心の準備ができます。
- 挨拶と注文の開始店員: Hi, how are you doing? What can I get for you today? (こんにちは、調子はどうですか?ご注文は何にしますか?)あなた: Good, thanks. Can I get a latte, please? (元気です、ありがとう。ラテをいただけますか?)
How are you?は「いらっしゃいませ」のような挨拶なので、難しく考えずにGoodやI'm goodと返せば大丈夫です。
- 詳細の確認店員: Sure. What size would you like? (はい。サイズはどうしますか?)あなた: Medium, please. (Mサイズでお願いします。)店員: Hot or iced? (ホットにしますか、アイスにしますか?)あなた: Hot, please. (ホットでお願いします。)
- 店内利用か持ち帰りかの確認店員: For here or to go? (店内でお召し上がりですか、お持ち帰りですか?)あなた: For here, please. (店内です、お願いします。)
- 追加注文の確認と支払い店員: Anything else? (他にご注文は?)あなた: No, that’s all. (いいえ、以上です。)店員: Your total is $4.50. (お会計は4ドル50セントです。)あなた: Can I pay by card? (カードで支払えますか?)
- 名前の確認と受け取り店員: Can I have your name? (お名前をいただけますか?)あなた: It’s Ayaka, A-Y-A-K-A. (アヤカです。)店員: Thanks. We’ll call you when it’s ready. (ありがとうございます。できあがったらお呼びします。)
この一連の流れが、多くのカフェでの基本的な対話となります。
こだわりを伝えるカスタマイズ英語表現集
自分好みのコーヒーを注文するためには、カスタマイズの表現を知っておくことが不可欠です。カスタマイズの注文には、実はバリスタが作業しやすい「論理的な順序」が存在します。一般的に「サイズ → 温度(ホット/アイス) → ドリンク名 → カスタマイズ内容」の順で伝えると、非常にスムーズに理解してもらえます。
カスタマイズの伝え方は、大きく「変更」「追加」「減らす・抜く」の3つのパターンで考えると整理しやすいかもしれません。
- 変更 (Substitute): ミルクの種類を変える
Can I get soy milk instead of milk?(牛乳の代わりに豆乳にできますか?)- その他のミルクの種類:
non-fat milk/skim milk(無脂肪乳),low-fat milk(低脂肪乳)
- 追加 (Add): シロップ、ショット、トッピングを加える
with vanilla syrup, please.(バニラシロップ追加でお願いします。)Can I get an extra shot?(エスプレッソショットを追加できますか?)with extra whipped cream.(ホイップクリーム多めで。)
- 減らす・抜く (Reduce/Remove): 甘さ、氷、クリームを調整する
half sweet, please.(甘さ半分でお願いします。)with less ice.(氷少なめで。)with no whip, please.(ホイップクリームなしでお願いします。)
- その他の特別なリクエスト
with room for milk.(ミルクを入れるスペースを空けてください。)extra hot, please.(熱めでお願いします。)Can I get a decaf latte?(カフェイン抜きのラテをいただけますか?)
これらのフレーズを組み合わせることで、例えば「トールサイズのアイスソイラテを、氷少なめでお願いします」(Can I get a tall iced soy latte with less ice?) のような複雑な注文も可能になります。
飛行機内でスマートに!客室乗務員へのコーヒーの頼み方
飛行機内という特殊な環境でも、コーヒーを頼む機会はよくあります。ここでは、より丁寧で簡潔な表現が好まれる傾向があります。
- 飲み物を勧められた時に答える客室乗務員から Would you like something to drink? (お飲み物はいかがですか?) や Tea or coffee? (紅茶かコーヒーはいかがですか?) と尋ねられた場合、シンプルに答えるのが最もスマートです。
Coffee, please.(コーヒーをお願いします。)Yes, please. I'd like a coffee.(はい、お願いします。コーヒーをいただきたいです。)
- 自分からお願いする食事のサービス時間外にコーヒーが欲しくなった場合は、客室乗務員に丁寧に声をかけてお願いする必要があります。
Excuse me, can I have some coffee?(すみません、コーヒーをいただけますか?)Could I have another cup of coffee, please?(コーヒーをもう一杯いただけますか?)
機内では、簡潔さと丁寧さのバランスが鍵となります。
「コーヒーはありますか?」と尋ねる表現とその他の質問フレーズ
注文する前に、いくつか確認したいことがあるかもしれません。そのような場合に使える質問フレーズも覚えておくと便利です。
- コーヒーの有無を確認するレストランや、コーヒーがメインではないお店で尋ねる際に役立ちます。
Do you have any coffee?(コーヒーはありますか?)
- おすすめを尋ねるそのお店ならではのメニューを試したい時に最適な質問です。
What do you recommend?(おすすめは何ですか?)Do you have any recommendations?(何かおすすめはありますか?)
- メニューの内容について尋ねる名前だけでは味が想像できないドリンクについて聞く時に使えます。
What does it taste like?(どんな味ですか?)
これらの質問をすることで、ただ注文するだけでなく、店員とのコミュニケーションを楽しみながら、新しいお気に入りを見つけるきっかけにもなるかもしれません。
【番外編】韓国語で「コーヒーをください」はどう言う?
旅行先として人気の韓国でコーヒーを注文する際のフレーズも紹介します。最も基本的な表現は以下の通りです。
커피 주세요.(コピ ジュセヨ / コーヒーください。)
この「주세요 (ジュセヨ)」は「~ください」という意味で、様々な場面で使える便利な言葉です。注文の際には、これに加えていくつかの単語を覚えると、よりスムーズになります。
- ホットかアイスか
- アイス:
아이스(アイス) - ホット:
따뜻한 걸로(タットゥタン ゴルロ / 温かいもので)
- アイス:
- 数量
- 1杯:
한잔(ハンジャン) - 2杯:
두잔(トゥジャン) 35
- 1杯:
これらを組み合わせると、「アイスアメリカーノを1杯ください」は 아이스 아메리카노 한잔 주세요. (アイス アメリカノ ハンジャン ジュセヨ) となります。韓国のカフェ文化を楽しむために、ぜひ活用してみてください。
英語で「コーヒーをください」と伝えるフレーズのまとめ
今回は英語で「コーヒーをください」と伝える方法についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・最もシンプルな注文は「A coffee, please.」である
・日常のカフェで最も一般的なのは「Can I have/get…?」という表現
・丁寧さを出したい時は「Could I have/get…?」が安全な選択肢
・「May I have…?」はフォーマルな場面に限定されることが多い
・意思を明確に伝える際は「I’d like…」や「I’ll have…」も有効
・丁寧さの序列は絶対ではなく、状況に応じた使い分けが重要
・海外のカフェでは注文が一連の会話の流れになることがある
・カスタマイズ注文は「サイズ→温度→ドリンク名→詳細」の順がスムーズ
・ミルクの変更は「… instead of…」で伝えることができる
・シロップやショットの追加は「with…」や「extra…」を用いる
・甘さや氷の調整には「half…」や「less…」が使える
・飛行機内では「Coffee, please.」のような簡潔な表現が好まれる
・おすすめを尋ねる際は「What do you recommend?」が便利
・コーヒーの有無は「Do you have any coffee?」で確認可能
・韓国語での基本注文は「커피 주세요 (コピ ジュセヨ)」である
今回ご紹介したフレーズは、どれも実際の会話ですぐに使えるものばかりです。最初は少し緊張するかもしれませんが、一度経験すれば、次からはもっとリラックスして注文できるようになるはずです。ぜひ、これらの表現を使って、海外のカフェでの素敵なコーヒータイムを楽しんでください。

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