「朝の目覚めに一杯のコーヒー」は、多くの人にとって至福の習慣です。しかしその一方で、「コーヒーを飲むと必ずお腹がゴロゴロする」「なぜか下痢になってしまう」といった悩みを抱えている方も少なくありません。不思議なことに、そうした方々の中には「紅茶なら何杯飲んでも大丈夫」というケースが多く見られます。
コーヒーも紅茶も同じカフェイン飲料なのに、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?
この記事では、WEBライターが様々なネット情報を徹底的に調査・考察し、「コーヒーで下痢になるのに紅茶は大丈夫」な理由を、考えられる原因から具体的な対策、そしてお腹を壊してしまった時の治し方まで、網羅的に解説していきます。コーヒーを飲むとお腹の調子が悪くなる方、その原因を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
コーヒーで下痢になるのに紅茶は大丈夫なのはなぜ?原因を徹底解説
コーヒーを飲んだ際に下痢を引き起こす原因は、一つだけではありません。複数の要因が複雑に絡み合っている可能性があります。一方で、紅茶が大丈夫な理由も、これらの原因物質の含有量の違いに隠されています。ここでは、考えられる6つの原因を詳しく見ていきましょう。
原因1:カフェインの過剰摂取による刺激
コーヒーで下痢になる最大の原因として広く知られているのが「カフェイン」です。カフェインには胃酸の分泌を促す作用や、腸の「蠕動(ぜんどう)運動」と呼ばれる、便を押し出す動きを活発にする働きがあります。
適量であれば消化を助け、便通を良くする効果も期待できますが、過剰に摂取すると胃酸で胃が荒れたり、腸が刺激されすぎて痙攣したりすることで、腹痛や下痢を引き起こすのです。
一方、紅茶にもカフェインは含まれていますが、一般的なドリップコーヒー100mlあたり約60mgのカフェインが含まれているのに対し、紅茶は同量で約30mgと、含有量はおおよそ半分です。このカフェイン量の違いが、コーヒーではお腹を壊すけれど紅茶は大丈夫、という現象の一因と考えられます。
原因2:クロロゲン酸が胃酸分泌を促進
コーヒーには「クロロゲン酸」というポリフェノールの一種が豊富に含まれています。クロロゲン酸には抗酸化作用や脂肪燃焼を助ける効果が期待される一方で、カフェインと同様に胃酸の分泌を促進する作用があります。
空腹時など、胃が空っぽの状態でコーヒーを飲むと、過剰に分泌された胃酸が胃の粘膜を直接刺激し、胃痛や不快感の原因となります。さらに、その刺激が腸にまで伝わることで、腸の動きが過剰に活発化し、下痢につながることがあります。ダイエット目的でコーヒーを飲む方もいますが、胃腸が弱い方はこのクロロゲン酸の働きに注意が必要です。
原因3:コーヒー豆の油分「コーヒーオイル」
コーヒー豆には「コーヒーオイル」と呼ばれる油分が含まれています。この油分はコーヒーの豊かな香りやコクを生み出す重要な要素ですが、体質によっては胃腸への刺激となり、お腹がゆるくなる原因となることがあります。
特に、ペーパードリップで淹れる場合は、コーヒーオイルの大部分がフィルターに吸収されます。しかし、フレンチプレスやエスプレッソなど、金属フィルターを使う抽出方法では、このオイルが多く液体に溶け出します。もし特定の淹れ方をしたコーヒーでのみお腹を壊すのであれば、このコーヒーオイルが原因かもしれません。
原因4:牛乳や砂糖に含まれる「乳糖」や「糖アルコール」
ブラックコーヒーでは問題ないのに、カフェオレやカフェラテにするとお腹を壊すという方は、コーヒーそのものではなく、一緒に入れている「牛乳」が原因かもしれません。
牛乳には「乳糖(ラクトース)」という糖質が含まれており、これを分解する酵素(ラクターゼ)の働きが弱い「乳糖不耐症」の人は、下痢や腹部の膨満感を引き起こしやすくなります。乳糖不耐症は、実は多くの日本人が該当すると言われています。
また、カロリーオフのシロップやガムシロップに使われることがある「糖アルコール」などの人工甘味料も、消化・吸収されにくいため、腸内で発酵しガスを発生させたり、お腹をゆるくしたりする原因となることが知られています。
原因5:体が冷えることによる影響
特に夏場に注意したいのが、アイスコーヒーによる「体の冷え」です。冷たい飲み物が胃腸に入ることで、内臓が直接冷やされ、消化機能が低下します。その結果、食べたものがうまく消化されずに下痢を引き起こすことがあります。
また、コーヒーに含まれるカフェインの利尿作用によって、体内の水分が排出される際に熱も一緒に奪われ、結果的に体が冷えてしまうことも考えられます。体が冷えると血行が悪くなり、胃腸の働きも鈍くなるため、下痢につながりやすい状態になります。ホットコーヒーを飲んでいるのに体が冷える感覚がある人は、この可能性も考慮に入れる必要があるでしょう。
コーヒーを飲むとすぐ下痢になる?何時間後?
コーヒーを飲んでから下痢の症状が出るまでの時間は、個人差が非常に大きいです。早い人では、飲んでから30分~1時間程度で腹痛やお腹がぐるぐるする感覚を覚え、トイレに駆け込むケースがあります。これは主に、カフェインやクロロゲン酸が胃腸を直接刺激し、蠕動運動が急激に活発になるためと考えられます。
一方で、飲んでから数時間後に症状が出る人もいます。これは、消化・吸収の過程で腸内環境が変化したり、乳糖不耐症が関係していたりする場合に見られます。もし「コーヒーを飲むとすぐ下痢になる」という自覚がある方は、カフェインなどによる直接的な刺激に敏感な体質なのかもしれません。
コーヒーで下痢になるのを防ぐには?紅茶は大丈夫でも試したい対策と治し方
コーヒーで下痢になる原因が分かれば、対策を立てることが可能です。ここでは、コーヒーを楽しみながらもお腹の調子を整えるための具体的な対策と、万が一お腹を壊してしまった際の治し方について詳しく解説します。
対策1:空腹時を避けて飲む
コーヒーによる下痢を防ぐための最も基本的かつ効果的な対策は、「空腹時に飲まない」ことです。空腹の状態でコーヒーを飲むと、カフェインやクロロゲン酸によって分泌された胃酸が、胃の粘膜を直接攻撃してしまいます。
これを防ぐためには、食事中や食後にコーヒーを飲むのがおすすめです。胃の中に食べ物がある状態であれば、それらがクッションとなり、胃酸による直接的な刺激を和らげることができます。朝一番にコーヒーを飲みたい場合は、パンやヨーグルトなどを少しでも口にしてからにすると、胃への負担を軽減できるでしょう。
対策2:少量ずつ、ゆっくり飲む
一度にたくさんのコーヒーをがぶ飲みすると、血中のカフェイン濃度が急激に上昇し、胃腸への刺激も強くなります。特に、お腹を壊しやすい人は、体が一度に処理できるカフェインの許容量が少ない可能性があります。
まずは、マグカップ半分程度の少量から試してみて、体の反応を見ましょう。また、時間をかけて一口ずつゆっくりと味わって飲むことで、胃腸への負担を分散させることができます。少量で満足感を得るためにも、少し贅沢な豆を選んで丁寧に淹れるなど、飲み方を工夫するのも良い方法です。
対策3:カフェインの少ないコーヒーを選ぶ
もしカフェインの刺激が主な原因だと考えられるなら、「デカフェ(カフェインレスコーヒー)」や「カフェインカット」の製品を選ぶのが最も直接的な解決策です。近年は技術の進歩により、風味を損なうことなくカフェインを90%以上除去した、美味しいデカフェコーヒーが数多く販売されています。
また、コーヒー豆の種類によってもカフェイン含有量は異なります。一般的に、苦味の強い「ロブスタ種」よりも、酸味が特徴の「アラビカ種」の方がカフェイン含有量は少ない傾向にあります。カフェインに弱いけれどコーヒーの風味を楽しみたいという方は、デカフェや豆の種類にこだわってみてはいかがでしょうか。
対策4:酸味の少ない深煎りの豆を選ぶ
胃酸の分泌を促すクロロゲン酸などの酸味成分の影響を抑えたい場合は、焙煎度の深い「深煎り」のコーヒー豆を選ぶのがおすすめです。コーヒー豆は焙煎が深くなるほど酸味が分解されてマイルドになり、苦味やコクが強くなる特徴があります。
一般的に、浅煎り(ライトロースト、シナモンロースト)は酸味が強く、深煎り(シティロースト、フレンチロースト)になるにつれて酸味が穏やかになります。また、深煎りの方がカフェイン含有量もわずかに減少する傾向があるため、胃腸への刺激を総合的に和らげたい場合に適しています。
コーヒーでお腹を壊した時の治し方
対策をしてもコーヒーでお腹を壊してしまった場合は、適切な対処が必要です。まず最も重要なのは「水分補給」です。下痢は体から多くの水分と電解質を失わせるため、脱水症状に陥る危険があります。水やお茶だけでなく、失われたミネラルを補給できる経口補水液やスポーツドリンクをこまめに摂取しましょう。
食事は、おかゆやよく煮込んだうどん、すりおろしたりんごなど、消化が良く胃腸に負担をかけないものを選びます。香辛料や脂肪分の多い食事、冷たい食べ物や飲み物は症状を悪化させる可能性があるので避けてください。市販の整腸剤や下痢止めも有効な場合がありますが、細菌性の下痢など、むやみに下痢を止めない方が良いケースもあります。症状が重い、長引く、または血便などの異常が見られる場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診してください。
コーヒーで下痢、でも紅茶は大丈夫な理由のまとめ
今回はコーヒーで下痢になるのに紅茶は大丈夫な理由と、その原因や治し方についてお伝えしました。以下に、本記事の内容を要約します。
・コーヒーで下痢になる主な原因はカフェインの過剰摂取
・カフェインは胃酸分泌と腸の蠕動運動を促進する
・紅茶はコーヒーに比べてカフェイン含有量が少ない
・コーヒーに含まれるクロロゲン酸も胃酸分泌を促す
・胃酸過多は胃腸への刺激となり下痢を誘発する
・コーヒー豆の油分が体質に合わない場合がある
・ミルクやシロップの追加が下痢の原因になることがある
・牛乳の乳糖が原因の乳糖不耐症は日本人に多い
・アイスコーヒーは内臓を直接冷やし消化機能を低下させる
・空腹時のコーヒー摂取は胃への刺激を強める
・対策として食後に少量ずつ飲むことが有効
・カフェインが原因ならデカフェ(カフェインレス)を選ぶ
・酸味が少ない深煎りの豆は胃への負担が比較的軽い
・下痢になった際は脱水予防のため水分補給が最重要
・症状が続く場合は医療機関の受診を検討すべき
コーヒーを飲むとお腹の調子が悪くなる方は、今回ご紹介した原因と対策を参考に、ご自身に合った飲み方を見つけてみてください。我慢せずにコーヒーを楽しむための一助となれば幸いです。もし症状が改善しない場合は、無理せず専門医に相談しましょう。
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